【それ、休めてませんよ?】『休養学: あなたを疲れから救う』要約-7つのタイプから考える休養の方法-

結論から『休養学: あなたを疲れから救う』に対する読者の評価は分かれています。多くの読者は、休養を7つのタイプに分類し、特に「攻めの休養」という積極的な休養方法を提案している点を新鮮で有益だと感じています。
一方で、内容が一般的で新しい発見が少ない、科学的根拠や出典が不足していると指摘する声もあります。
そんな賛否両論が分かれている本ですが、この記事を読んでいるということは少なからず興味があるかと存じます。
ぜひ、最後までご拝読いただけますと幸いございます。
本書の概略
『休養学: あなたを疲れから救う』は、片野秀樹氏が提唱する「休養学」に基づき、効果的な休息方法を科学的に解説した書籍です。著者は、日本人の約8割が疲労を感じている現状を指摘し、その原因として「休み下手」であることを挙げています。
また、単なる「守りの休養」だけでなく、適度な負荷をかけて基礎体力を向上させる「攻めの休養」の重要性も強調されています。
さらに、睡眠の質を高めるためには、朝に太陽の光を浴びることが有効であり、これにより体内時計が整い、夜間の深い睡眠を促進すると述べられています。
本書は、現代人が効果的に疲労を管理し、健康的な生活を送るための具体的な方法を提供しています。
各章の要約
第1章 日本人の8割が疲れている
『休養学: あなたを疲れから救う』の第1章「日本人の8割が疲れている」では、日本人の多くが慢性的な疲労を抱えている現状と、その背景について分析しています。
- 疲労の増加傾向: 過去25年間で、疲労を感じる人の割合が約2割増加しており、現在では約8割の日本人が疲労を自覚しています。
- 経済的影響: 疲労による生産性の低下や健康問題が、年間約1.2兆円の経済損失をもたらしていると推定されています。
- 文化的要因: 日本では「休むこと=怠けること」という価値観が根強く、休息を取ることに罪悪感を感じる人が多いと指摘されています。
- 労働環境の特徴: 日本人は他国と比較して労働時間が特別長いわけではないものの、休息の取り方が効果的でないため、疲労が蓄積しやすいとされています。
これらの要因が相まって、多くの日本人が慢性的な疲労を感じている現状が浮き彫りになっています。
第2章 科学でわかった!疲労の正体
休養のメカニズムとその重要性
第2章は、身体と心がどのように疲労を蓄積し、どんな生理学的・心理的プロセスが介在しているのかを解説します。著者は、日常のストレスや労働環境がどのように体に影響を与えるのかを具体的な事例やデータに基づいて説明し、正しい休養法を選択するための基盤を築いています。
受動的休養と能動的休養の対比
従来の「何もしない」休息(受動的休養)だけではなく、積極的に行動する「攻めの休養」の有効性も議論されます。
能動的休養とは?
- 軽い運動やストレッチ:ウォーキング、ヨガ、軽い筋トレなど。
- 趣味や遊びに没頭する:絵を描く、音楽を聴く・演奏する、ゲームなど。
- 人との交流:友人との会話や食事、オンラインでの交流も含む。
- 旅行や外出:非日常を体験することで精神的リフレッシュが得られる。
なぜ能動的休養が効果的なのか?
- 血行が良くなり、酸素や栄養が全身に巡る
- 脳の違う部分を使うことで、仕事などで酷使した部分が休まる
- 「やらされる」ではなく「自分で選ぶ」ことで主体性と満足感が増す
- 気分転換になり、ストレスの原因から距離を取れる
「疲れたから寝る」だけではなく、「疲れているからこそ、散歩に出かける」「気分が落ちているから趣味の時間を作る」といった自分に合ったアクションを選ぶことが、真の休養につながるというのが『休養学』のメッセージです。
第3章 最高の「休養」をとる7つの戦略
第3章「最高の『休養』をとる7つの戦略」では、効果的な休養を実現するための具体的な方法が紹介されています。著者は、活動と休養のサイクルに「活力」を加えることで、より充実した生活を送ることができると提案しています。
活動→疲労→休養→活力のサイクルの重要性
従来の「活動→疲労→休養」のサイクルに「活力」を加えることで、エネルギーを最大限に回復し、次の活動に備えることができるとされています。
「攻めの休養」の提案
単なる休息(受動的休養)だけでなく、上述した適度な負荷を自らに与える「攻めの休養」(能動的休養)の重要性が強調されています。これにより、基礎体力の向上や疲労回復が促進されます。
休養の7つのタイプ
本書では、休養を以下の7つのタイプに分類しています:
- 休息タイプ:活動を停止し、エネルギーの回復を待つ受動的な休み方。
- 娯楽タイプ:趣味や遊びを通じてリフレッシュする方法。
- 運動タイプ:適度な運動で心身を活性化させる休養法。
- 栄養タイプ:バランスの取れた食事で体を内側から整える方法。
- 睡眠タイプ:質の高い睡眠をとることで疲労を回復させる方法。
- 積極的休養タイプ:新しいことに挑戦し、刺激を得ることでリフレッシュする方法。
- 社会的休養タイプ:人との交流を通じて心の疲れを癒す方法。
これらを組み合わせることで、個々に最適な休養法を見つけることができるとしています。
なお、本自体が、読み手によって解釈が分かれやすいテーマでもあります。本記事では便宜上、以上の7つにジャンル分けさせていただきました。
第4章 眠るだけでは休養にならない
第4章「眠るだけでは休養にならない」では、睡眠の重要性と、その質を向上させる具体的な方法について詳しく解説されています。
睡眠の役割と重要性
睡眠は単なる休息ではなく、心身の健康を維持し、日中のパフォーマンスを向上させるために不可欠なプロセスであることが強調されています。

「人間は眠る為に生活している」という説もあります
睡眠の多面的な効果
良質な睡眠は、記憶の定着、ホルモンバランスの調整、免疫力の向上など、多岐にわたる効果をもたらします。
睡眠の質を高める具体的な方法
生活習慣の見直し: 就寝前のリラックス時間の確保、カフェインやアルコールの摂取を控えるなど、日常生活での工夫が紹介されています。

筆者もカフェインは控えるようにします…
睡眠環境の整備: 快適な寝具の選択、室温や照明の調整など、睡眠環境を最適化する方法が提案されています。
睡眠環境の整備は、睡眠の「質」を大きく左右します。『休養学』第4章でも強調されているように、「眠っているつもりなのに疲れが取れない」という人は、睡眠環境が最適でない可能性が高いです。
以下、具体的にどんなポイントを整備すべきか詳しく紹介します。
- 寝具の選び方
マットレス:硬すぎず柔らかすぎない、自分の体に合ったもの。体圧を分散させる高反発マットレスなどが人気。
枕:首の自然なカーブを支える高さ・硬さのもの。横向き寝、仰向け寝などに合わせて選ぶ。
布団・掛け布団:通気性が良く、季節に合った素材(夏は涼しく、冬は保温性)を選ぶとGood!
- 室温・湿度
理想的な室温:夏は25~26℃、冬は18~20℃前後が快適。
理想的な湿度:40~60%を保つと、乾燥や蒸し暑さを防げる。加湿器や除湿機、エアコンの活用がポイント。加湿器や除湿機、エアコンの活用がポイント。

飼い鳥の飼育方法みたいになってる…!
つまり、人間でも同じことが言えるってことでしょう
- 照明
就寝前は、暖色系の間接照明が理想(青白い光はNG)。
真っ暗にして寝るのが基本。遮光カーテンやアイマスクも効果的。
- 音環境
静かな環境を整えるのがベスト。ただし、生活音が気になる場合は「ホワイトノイズ」や「自然音(波の音、森の音など)」を流すと逆に落ち着くことも。
生活音・環境音によっては、耳栓もおすすめ。
- デジタルデトックス
スマホ・タブレット・PCのブルーライトは脳を覚醒させるので、寝る1時間前には触らないのが理想。
どうしても使いたい場合は「ナイトモード」やブルーライトカット眼鏡を活用。
- 心理的な安心感
落ち着いた色味の寝室にする(淡いグレー、ネイビー、ベージュなど)。
アロマ(ラベンダーやカモミール)を使って、入眠習慣をつくるのもgood。
第5章 新しい「休み方」を始めよう
第5章「新しい『休み方』をはじめよう」では、従来の休養方法を見直し、これからの時代に合った、戦略的で前向きな休養の取り方について実践的にアドバイスしてくれる章です。
土曜始まりのスケジューリング
多くの人が日曜日の夜に翌週の予定を確認しますが、これを土曜日に行うことが推奨されています。 土曜の時点で平日5日間のスケジュールを把握し、予定が詰まっている場合は、土日で「攻めの休養」を行い、エネルギーを充電することが理想とされています。
その理由は以下の通りです。
- 土曜に予定を把握しておくことで、日曜を“休みっぱなし”で終わらせず、「どう回復すべきか」が見える。
- 翌週がハードな場合、土日に能動的に疲労回復できるメニュー(例:軽い運動、食生活の見直し、マッサージ予約など)を組み込める。
- 単なる「休日」ではなく、「調整日」として活用できる。例:「火曜が詰まっている → 月曜は早く寝よう」など、逆算して休養設計が可能。
平日中のエネルギー補給
計画通りに進まない場合、例えば急な忙しさでエネルギーが消耗した際には、昼休みに仮眠を取る(パワーナップ)、同僚と美味しいものを食べて気分転換、朝の通勤を少しだけ遠回りして緑の多いルートを歩くなど、日々の小さなリカバリーが大事というのがポイントです。

日々“チャージポイント”を作ることで、
疲労が溜まりにくくなるのですよ
自分の体調を「見える化」する
アスリートが日誌で体調を記録するように、ビジネスパーソンも手帳やスマホに日々の体調を記録することが勧められています。 これにより、自分の疲労に敏感になり、適切な休養を取る判断材料とすることができます。
具体的には以下の通りです。
- スマホのメモや手帳に「★~★★★」で疲れ度を記録
- 体調が良い・悪い時の行動を記録して傾向を分析(例:「週2回ランチ外食すると調子がいい」など)
なぜ、このような習慣が大事なのでしょう?
- 客観的に見ないと「自分の疲れ」を見逃しがち
- 記録を振り返ることで、自分に合った休養法が見つかる
休養は「受け身」ではなく「戦略的」に取る時代です。疲れたから休むのではなく、「疲れる前に」整えていくのがこれからの休養スタイル。まさに第5章は、そのマインドチェンジを促してくれる章です。
まとめ

「休養とは、ただの“停止”ではない。“前に進む力”を蓄えるための戦略である。」
現代人の多くは、疲れを感じながらも「とりあえず寝る」「週末にだらける」といった受動的な休み方に頼りがちです。でもそれでは、本当の意味で心身を回復させることは難しい。
この本は、休養を「技術」や「設計」として捉え直し、個人のパフォーマンスと生活の質を高めるための知識と実践法を教えてくれます。
- 7つの休養タイプで、自分に合ったリフレッシュ法を知る
- 「攻めの休養」で、疲れをためない体と心を育てる
- 「休み方」を設計し、週・月・年単位で自分をメンテナンスする
そして何よりも大切なのは…
「休むことに、罪悪感はいらない」
むしろ、正しく休むことは、未来の自分にとって最高の投資。
読後には、休養がただの“おまけ”や“逃げ”ではなく、人生を豊かにするための主役になり得ることに気づかされます。
自分をケアする知性と習慣を身につけたいすべての人に、まさに今こそ読んでほしい一冊です。

ではでは、マルマグでした^^